労働災害の現状
厚生労働省公表の令和4年労働災害発生状況によると、令和4年1月から12月までの新型コロナウイルス感染症への罹患によるものを除いた労働災害による死亡者数は過去最少となった一方で、休業4日以上の死傷者数は過去20年で最多となりました。
労働災害を減少させるために国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画では、平成29年と比較して死亡者数は目標を超える減少となったものの、死傷者数は全体で9.9%の増加となりました。
労働災害による死亡者数、死傷者数の推移
※「令和4年 労働災害発生状況」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001100029.pdf)を加工して作成
※「令和4年 労働災害発生状況」(厚生労働省)を加工して作成
「労災」は労働者のための制度
労災保険とは労働者災害補償保険の略で、その名前からも分かるように労働者のための制度なので、労働者ではない事業主等はこの保険の対象とはなりません。
事業主が仕事中や通勤中にケガや病気をされた場合は、健康保険も労災保険も使えない「無保険」の状態となります。
ご安心ください!事業主や家族従業員の方でも労災保険の特別加入が可能です
「従業員と同じ仕事をしているのに補償されないの?」そんな不安を抱えている事業主等を保護する制度が特別加入です。
特別加入の制度を利用するためには労働保険事務組合に委託することが必要です。
この労働保険事務組合とは、事業主の委託を受けて、事業主が行うべき労災保険と雇用保険の事務手続きを代行することについて、厚生労働大臣の認可を受けた中小事業主等の団体です。
私たちベンチャーパートナーズ社会保険労務士法人はこの認可を受け、
「労働保険事務組合北央労働保険協会」として労働保険手続きを行えます。
特別加入のポイント
補償の対象
「通勤途中のケガ」や「従業員と同様の業務を行っている最中の傷病」※が対象になります。
通勤災害は、一般の労働者の場合と同様に取り扱われますが、業務災害については、補償の対象となる範囲に条件がございます。ですが、国の制度ですので充実した給付が受けられます。
※代表者や役員の立場として業務活動している場合は補償範囲外です。
給付の内容
<例>給付基礎日額3,500円の場合
病院での治療代 | 無料※給付基礎日額に関係なく、必要な治療が無料で受けられます |
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休業給付金 通勤、業務でのケガのため 労働できない期間の補償です |
<例>給付基礎日額3,500円、30日間休業した場合 3,500円 × 80% × (30日 - 3日) = 75,600円 |
障害が残ってしまった 場合の給付 |
<例>給付基礎日額3,500円、障害等級第1級の場合 3,500円 × 313日分 = 1,095,500円 + 障害特別支給金 3,420,000円 |
遺族補償給付 | <例>給付基礎日額3,500円の場合 一時金として 3,000,000円 + 年金として 535,500円 ※家族構成等により金額は変動することがあります |
その他 | このほかにも葬祭給付、介護補償給付があります |
給付基礎日額とは・・・
保険料の給付額を算定する基礎となるもので、3,500円~25,000円の範囲で事業所様に決めていただきます。
特別加入保険料
年間保険料は、保険料算定基礎額にそれぞれの事業に定められた保険料率を乗じたものになります。
年間保険料=保険料算定基礎額(給付基礎日額×365)×各事業の保険料率
<例> 既設建築物設備工事業 A社長
(給付基礎日額3,500円)の場合
- 保険料算定基礎額
- 3,500円 × 365日 = 1,277,500円
- 年間保険料
- 1,277,500円×12/1,000(既設建築物設備工事業保険料率)= 15,330円
◎こんなメリットも!
通常、概算労働保険料が40万円未満の場合は一括納付しなければなりません。事務組合に委託すると労働保険料の額にかかわらず、保険料の納付を3回に分割できます。労働保険料の計算、申告だけでなく、納付手続きも事業主に代わって事務組合が行いますので、わずらわしい事務の手間を省けます。
- この例の場合・・・
- 15,330円 ÷ 3期 = 5,110円(1期あたり)の納付になります。
よくあるご質問
労働保険事務組合北央労働保険協会とは何ですか。
中小企業事業主様から委託を受けて、労働保険に関する手続きを代行することについて厚生労働大臣から認可を受けた団体です。
具体的にどのようなことを代行してくれますか。
- ①概算保険料、確定保険料及び一般拠出金などの申告及び納付
- ②労働保険の申込手続き(保険関係成立届、雇用保険の事務所設置届等)
- ③労災保険の特別加入の申請
- ④従業員の入社・退社時の雇用保険届出
- ⑤その他、労働保険の適用徴収に係る申請、届出、報告等に関する諸手続き
労働保険とは何ですか。
労働者災害補償保険(一般的に『労災保険』といいます。)と雇用保険を総称した言葉です。
労働保険
労災保険
仕事中や通勤中の災害に対する保険
雇用保険
失業など収入が減る事態に対する保険
特別加入とはどのようなものですか。
通常、事業主・役員・家族従事者は労災保険の対象となりませんが、申込をすることで特別に労災保険に加入することができる制度です。申込手続きは北央労働保険協会が行います!
北央労働保険協会に加入するメリットは何ですか。
- ①労働保険料の額にかかわらず、労働保険料の納付を3回に分割できます。
- ②労働保険料の計算・申告・納付手続きのほか、従業員が退職した際の離職票作成も行いますので、わずらわしい事務の手間が省けます。
- ③通常では労災保険の対象とならない事業主様が特別加入をすることで、従業員と同様の補償が受けられます。※ただし、代表者や役員の立場としての業務活動中の災害は補償範囲外です。
- ④労災書類作成は北央労働保険協会の業務範囲外ですが、【ベンチャーパートナーズ社会保険労務士法人】が行いますのでご安心ください。